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賃貸住宅でどこまで現実的な対策ができるか?

完成後の室内

リフォームポイント

賃貸住宅でどこまで現実的な対策ができるか?それに挑戦しています。学術集会の抄録(←リンク貼ってください)でも報告していますのでご覧ください。

リフォームデータ

現  場:Sマンション S・S様邸

工事時期:平成17年6月16日~平成17年7月20日 5週間

工 事 費:120万円

工事内容:賃貸マンション 内装(床・壁・天井その他建具取替え)襖貼替え、建具枠塗装

仕  様:オガファーザー、オレフィン紙、自然系塗料、ノンホルム・ノントルエン壁紙接着剤、TOTOユニットバス等建材データーベース登録建材使用

お客様のコメント

常々、所有する賃貸マンションにおいて「居住者が安心して住める」住宅を提供していきたいと考えていました。たまたま、空室が出たのを機に、それまでNPO活動を通じて付き合いのあったマンエイさんと相談しながら「安心アパート・マンション仕様」を探るべく今回のリフォームに取り組みました。その結果、思いもよらぬ結果を得て驚いています。この取り組みは非常に興味深く、その後の業界での常識の先駆けとなった研究のひとつとして加えていただけるのではないか自負しています。

本リフォームを行うに当たっては、ひとえにマンエイの監督・職人さん達による細部に至る協力体制づくりが根底にあったことが成果に貢献しています。まさに、リフォームとは職人さんまで含めたトータルな仕事で評価される事を改めて知ったところです。知識のない職人や監督では、「安心・安全なリフォーム」はまず失敗しますね。

詳しくは研究報告書またはダイジェスト版をご覧ください。

▼マンション外観

▼工事前 室内の空気環境を測定している様子

相談

基本的に世に出回っています「無添加」「LOHAS」「シックハウス対策」等といわれるリフォームは、いずれも自然素材を多用して体にやさしいと言う点をアピールしています。確かにこれまでの建材であれば比較してそうした事が言えるのだと思います。しかし、シックハウス対策法が施行されてからは、市場ではVOC発散濃度の極めて少ない内装建材が容易に手に入るようになってきました。それによって自然素材の流通も活発化し、価格が下がってきて、賃貸住宅の様に利回りや費用回収が優先事項とされる住宅においても利用しやすくなってきました。

そうした点に着目して、以前からNPOを通じて親交のあったSさんから「大家でも採用できる人に優しいリフォームができいなか?」と相談を受けました。こうした取り組みはコストが掛かる上にやってみなければ結果が分からないという実験的なもので、理想はあってもなかなか取り組める方はいません。それだけ居住者のために何とかしたいとのSさんの想いが伝わってきました。

さて、今回の大きな目的である「室内の空気質をデザイン」するためには、事前の打ち合わせと仮説の設定非常に重要です。目標値は

 1. 真夏(35℃,50%)でもホルムアルデヒドの濃度が指針値(100μg/m3)を超えない。

2. 指針値が示されているVOCは指針値の1/5~1/10以下。

というものです。

ただし、予算の都合上、測定ができない農薬系と防虫剤系は除かれました。仕上げ表はじっくり検討して費用負担と家賃相場などから今回リフォームできる金額を求めて決定しました。

 

作業の様子

【工事中】 

一番気を使わなければいけないのは「職人さんへの周知」です。

接着剤から道具類、材料の運搬・養生方法まで細かく指定していても現場でそれができていなければ全く無意味になってしまいます。良くあるのが

「ついうっかり。」

「良かれと思って。」

それで仕様と異なる副資材を使ってしまうことです。こうなると後に大きな問題を引き起こします。10P10Cブランドの工事では、工事完了後、目標値に到達しているかどうか測定を行います。その時に「出るはずのない化学物質」が大きく検出されてしまう事があるのです。設計サイドでは当然想定していませんので、使用した材料メーカーに全て問い合わせます。しかし、回答は「そのような化学物質は一切使用していません。」となってしまいます。

それで、現場のヒアリングをしていくと…

「そういえば、あの時ちょっとだけボンドが足りなくなって、車に積んであるモノで代用して納めたよ。」

もちろん私達はこんな初歩的なミスは起こしません。しかし、今回は想定外の事が発生してしまいました。自然塗料というのは天然の原料を混ぜて製造していきます。その原料は製造過程で純度を高めるために溶媒を使って抽出する事があります。それらの一部がごく微量ですが残留する事があります。すると何が起こるかと言いますと、メーカーサイドからは「一切使用していない。」という先の回答ですが、現場で測定すると、その使っていないはずの化学物質が出てきてしまうのです。また、ある特定の天然油剤は使用した環境中でホルムアルデヒドを合成する事もあります。

使用した部位にもよりますが、撤去改修することは困難です。そこでキャッチャー剤を塗布することになります。キャッチャー剤も物によって使ってみなければ分からない部分もあって、選定に困りますが、私達は全国組織のNPOネットワークを持っていますので、そのノウハウを活用する事ができました。

【工事完成】

▼完成後の測定の様子

▼完成後の室内

再度測定を行って低減した事を確認して引渡しになりました。その後は多くの方々に興味をもっていただきまして、見学などが相次ぎました。しかし、今回は相場よりもかなり割高に家賃を設定していますので、直ぐに決まりませんでした。それでも最後は空いていた空室が埋まり大家さんもほっと一安心されたようです。入居者には大変好評で「普段、室内の空気は知らずに吸っていますけど、ここに入ってからキレイな空気を吸っていると意識できるようになりました。すごく気分が良いです。」との感想をいただいています。

学術集会の抄録(リンクしてください)で詳しく見ることができます。さらに詳しい報告書がご入用の方は1部840円(税込・送料込)で販売しておりますのでお問い合わせ(リンクしてください)ください。

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